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ネギまSS第4話 [ネギま! SS]

少女はミルフィーユを食べてる男に話しかけた。

「その………なんだ、久しぶりだな。」
「もぐもぐ………そうらな……」








少女はブラマンジェを食べてる男に話しかけた。

「まぁ、元気そうで何よりだ………」
「あぁ……もぐもぐ………オ、ウマいな! コレ。」








少女はシュークリームを食べてる男に話しかけた。

「しばらくここにいるんだろ?」
「多分な……はぐはぐ………」








少女はラズベリー・タルトを食べている男に話しかけた。

「オイ ……………………」
「…………………………」







少女はバニラアイスを食べてる男にむかってテーブルを叩きながら叫んだ。

「貴様ァ!! 喋るか食べるかどっちかにしろ! それと茶々丸、お前も次から次へと菓子を運ぶな!!」

だが彼にとってその二者択一に答えを出すのは時間の無駄に他ならない。
男は一瞬の沈黙の後、一心不乱にチョコレートケーキを貪り食った。



「………………………私が……悪かった。」







少女はドーナツを食べてる男に敗北を認めた。





       魔法先生ネギま!~龍の在る景色~

              第四話:福音<エヴァンジェル>







「イヤ、冗談だってば! 機嫌直せよ……ホラ、ケーキ食うか?」
「フン、貴様の目は節穴か? 私は機嫌など損ねてはいないぞ!」

だったら何故目を合わせようとしない、と訊きたかったがヤバいオーラが大放出しまくっているエヴァンジェリンを前にヴォルトはその質問を切り出せなかった。
一触即発とはテーブルを挟んだこの2人のためにある言葉かも知れない。
大体にしてヴォルトの食べるスピードに合わせて次々と運べるだけの菓子を用意してあったのだからこの状況は予想できない訳が無い。
……にもかかわらず予想できてなかったのだから、完全にエヴァンジェリンの誤算だ。
ぬくもりの感じられる木造の家にあり得ないくらいミスマッチな緊迫感に耐えられなくなったのか、エヴァンジェリンは口を開いた。

「………まぁいい、こんな事で時間をふいにしている場合ではなかったな。」

滲み出ていたオーラを何とか50%くらいに抑えながらやっとヴォルトと向き合った。
と言っても、その眼光は泣く子も黙るを通り越して寝た子が泣き出すほどの迫力を秘めていた。

「とりあえず質問は三つだ、一つ目は何故私の前から消えたか、二つ目はあの状況でどうやって鎌を人形に出来たのか、そして三つ目………」

ヴォルトは無言で先を促した。
一呼吸置いてからエヴァンジェリンは続けた。

「何故貴様が今になってここに来た?」
「そうだな、じゃあ一つずつ答えていくか……」

茶々丸の入れた紅茶に大量の砂糖を投入したヴォルトはそれを一口飲んでから彼女に向かい合った。
余談だが流石お茶汲人形の延長線上にあるロボットと言うだけあって、紅茶はヴォルトの舌を満足させるものであった。
ヴォルトに紅茶の心得など無かったが、それでもこの紅茶が上等な物である事位は解る。
だが、立ち込める甘い香りを楽しんでる暇も無く説明に取り掛かった。

「まず一つ目の質問だが……まぁ、話すと長いし急いで伝える内容でもないから要点だけ話そう。あの後俺は『奴』と死闘を繰り広げ、何とか手傷を負わせ退散させた……だが、その代償にかなり厄介な呪いを受けた。」
「呪い………か、それは何となく気付いていたがな。大体にして今のお前の戦闘能力はあの時の十分の一にも満たないからな。」
「それはお互い様だろう?」

その言葉に二人とも皮肉っぽい笑みを浮かべていた。
五百年というブランクを感じさせないほどに二人の息は合っている。

「で? 具体的にはどういう類の呪いなんだ?」
「俺の龍の力を封じられた、ってトコかな。」
「つまり、私の呪いと同じ種類……という事か。」
「イヤ、少し違うな。」

エヴァンジェリンが多少食いつきのいい顔をした。
それを確認してからヴォルトは先を続ける。

「お前の場合は外から強力な力で押さえつけられているが、俺の場合は龍の力そのものを感知できなくなっている。つまり、お前は呪いを解けばそれで済むが、俺の呪いは龍の力を感知できなくした時点で終了だ……早い話が今現在俺に呪いは掛かっていない。」
「それはまた厄介なのを掛けられたな、掛かっていないものを解く事は出来ない………か。呪いと言うよりは能力そのものを奪われたか。」
「あぁ、身体自身の防御力や回復能力とか意識しないでも使える能力は残ってるんだが魔法とかがどうもな……ラジオにノイズがかかってるみたいで上手く使えないし、それに………」

一呼吸置き、コンプレックスを打ち明けるような、半ば開き直ったような笑みでこう言った。

「………空飛べないんだ、今。」
「…………………………」

一瞬場に気まずい沈黙が流れる。
長い沈黙を破ったのはくぐもった笑い声。

「………くっくっく。そうか、それは大層辛いだろうなぁ……くくっ。」
「てめぇ………いつか殺すぞ……」

木製の建物に少女の笑い声が響く。
人間の魔法使いならばともかく、非常に高等な魔族である彼らにとって『空を飛べない』と言う事は想像以上に不名誉なレッテルだ。
放たれる殺気を物ともせず腹を抱えて笑い続けていたが、ひとしきり笑い終えたのかまた真面目な顔をして向かい合った。

「で? そのせいでしばらく姿を消したと。」
「あぁ、それまで生命活動の殆どを龍の力に依存してたからな。その後百年くらいは人間並みの生活すら遅れなかったよ。」
「そうか、この話はこんなものでいいだろう。次に二番目の質問だが………」
「『どうやって鎌を人形にしたか』だったな。」

新たに注がれたコーヒーに砂糖を大さじ三杯とミルクをありったけぶち込んでから口をつけた。
ここまで来ると最早コーヒーなのかカフェオレなのかコーヒー牛乳なのかただの牛乳なのかの判断は付きにくい。
それをヴォルトは糖尿病など何処吹く風、とばかりにその代物をがぶ飲みしている。

「実際その質問は少し間違えてるな、あの鎌は元々人形だったんだ。」

新たに運ばれてきたテーブルの上のアンティーク調の皿に並べられたクッキーに手を伸ばし、一口ほおばる。
焼きたてのほのかに温もりが残るそれは口の中で香ばしい香りで満たした。

「魔法道具の一種でな、呪文を唱えればいつでも変化させられる。」

クッキーを二つ手に持ったヴォルトは席を立ち一枚ほお張りながら部屋の一角に向かった。
そして、部屋の一角にたたずむ動かない人形に向かって話しかけた。

「よぅ、久しぶりだな……って、覚えてねぇか。」
「ア? 誰ダオ前。」

予想通りの返答に満足したのか二枚目のクッキーを口に頬張り、人形の頭に手を伸ばした。
そしてその手を左右に動かす、すなわち頭をなでる。
普通なら愛情表現と取られるその行動も彼女には気に入らなかったらしい。

「オイ、ゴ主人、コイツ殺シテイイカ?」
「やめとけ、一分で燃えるゴミにされるぞ。」

不気味な笑い声を上げる人形を背に、ヴォルトもそれに負けないくらいの笑みを浮かべて席に戻った。

「なんだ、思ったより仲良くやってるじゃないか。」
「かれこれ500年以上も一緒にいればな……で?」

ヴォルトにつられたのか口にクッキーをほお張ったエヴァンジェリンは次の区を告ぐ。

「今更になってご愛用の釜でも取り戻しに来たか?」
「フン、まさか。 ソレはお前にくれてやるさ……さて、そろそろ三つ目の質問に答えるかな。」

この家に来て初めて甘いものから手を離したヴォルトは真剣な顔つきで真っ直ぐにエヴァンジェリンの目を見つめた。

「俺がココに来た理由、それは………」

 

 

~SSあとがき一人語り~

皆さん ボッヒゃ~、ボヒゃまげです。
今回は大分前に更新停止したと思われていながら実はひそかに書き溜めてたネギまSSの……第何話だっけ?
あ、4話だ、4話。
実はこのSSのファイル無くしたと思ってたんですけどネギまSNSの方にお試しで書いてたのを思い出してこぴってきましたw
まぁ、暇を見つけてちょくちょく書いていきますよ~。
待ってる人はいないでしょうがw

てなわけで、また明日~。


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