SSブログ

長門SS第七話 [ハルヒSS]

前回のあらすじ:ハルヒに付き合わされるままにメイド喫茶に入店してしまった。

「お帰りなさいませ、ご主人様、お嬢様♪」

トーンの高いマニュアル通りのセリフとはいえ、実際に言われると中々どうしてまんざらでもない。
この業界にメイド喫茶なるものが蔓延している理由が小さじ一杯くらいは解る気がするな。
迎えてくれたのは長い髪を二つに縛り、紺のワンピースの上からふんだんにフリルをあしらったエプロンを着用し、これまたフリフリのカチューシャがワンポイントのメイドさんだった。
スカートもあえて膝下まであるところから見ると、どうやら萌えを意識しすぎず清楚で正統派なのがこの店の売りらしい。
そう思って店内を見回してみると、落ち着いた雰囲気でメイドがいなければ普通の喫茶店としても十分営業できるくらいだ。

「それでは、こちらにどうぞ♪」

最早メイドコスプレしたヤツがメイド喫茶に来る事など珍しくも無いのか、店のメイドさんは慣れた扱いで席まで案内した。
案内されたのは六人席で俺の右隣に古泉、向かいに左から朝比奈さん、ハルヒ、長門の順に座った。
せめてもの幸いだったのはこの席が店の奥にあったことだな。
窓側に面した道路は遠くから凝視している限り北高の生徒もちらほらと通っており、もし谷口にでも見つかろうものなら俺は本当の意味でヒッキーのオタクにでもならなければならないだろう。
この席に座っていればよほど店内を覗き込まない限り見られることは無い。
まさに首の皮一枚だぜ。

「ふっふ~ん♪ 中々いい雰囲気じゃない。二人とも、ちゃんとよく見て勉強しておくのよ! いついかなる時にも他の人たちの三歩前を行かなきゃならないんだから。」
「あッ!ハイ!」

店で働けば即・人気No1メイドになりそうなくらいの眩しさと美しさとその他諸々を兼ね備えた朝比奈さんはどこからか取り出したこれまた可愛らしいメモ帳にカリカリとペンを走らせている。
真面目なのはいたっていいことだが、その情熱をこんなどっかの意地悪な王様が気まぐれで考えたような命令に費やしていいのだろうかと心配になるね。
長門は長門で目から高粒子レーザーでも発射しそうな勢いで店を闊歩するメイドさんたちを凝視してる。
コイツが本以外を凝視しているのは何かの天変地異の前触れだろうか。

「ご注文は何にいたしますか? ご主人様、お嬢様♪」
「アイス5つで。」
「かしこまりました♪」

オイ、勝手に決めるなよ。少しは選択権を残せ。

「何よー。別にみんな異論は無いでしょ?」
「僕はソレで構いませんが?」
「あの、私もアイスコーヒーでいいですよ。」
「………別に。」

まぁ、俺も別に異論は無いんだが。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:アニメ

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。