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ネギまSS第三話 [ネギま! SS]








そうか………奴が来るか 
あの黒ずくめを最後に見たのはざっと五百年前だな
そんな事を思いながら私は既に耳障りな機会音を発している受話器を元あった場所へと伏せた
私と奴との出会いは…………確か…………

 

 


       魔法先生ネギま!~龍の在る景色~

              第三話:美しすぎた笑顔

 

 

 

時は中世、私はどこぞの金持ちの城に預けられ何不自由なく過ごしていた
だが、そんな生活は無常にも呆気無く崩れ去った
私は、私をこんな姿にした男を殺した
それが自らの力を認める事と解っていたのに

 


それから私は各地を彷徨い歩いた
殆どの土地には五年と留まれず、次の土地へ追放される事を余儀なくされた
それこそが私の体に刻み込まれた見えない十字架
そう、確かあれは十二個目の街を過ぎた時だった
爽やかな風が吹きすさぶ、美しい草原の真ん中で


私は殺された


無論、実際には死んではいないがな
だが相手も殺したつもりだっただろうし、私も死んでもいいと思っていた
このまま無意味に生をむさぼり続けるくらいなら…………と

 

そこに奴が現れた

 

気が付くと私は不意に、失われたはずの五感に熱さを感じた
私がそっと眼を開けてみると回りは既に美しい草原の面影は微塵も無く『ただの』火の海だった

(ここが………地獄か)

私はそう思った
否、どうやら口に出していたらしい
その証拠に突如うずくまっている私の上から声が聞こえた

 

「あー――、悪いけどまだ死んでないぜ、あんた」

 

視線を上に上げるとそこには長髪で全身黒ずくめで鎌を持った男がいた
その背中に生えていた翼は今でも忘れられない
幾重にも重なった白銀に煌く恐ろしい程綺麗な龍の翼

「死………神…………?」

今度ははっきり口に出した
周りは火の海、目の前に翼の生えた黒ずくめ、しかも鎌と来ればむしろその方が自然だっただろう
だがそいつはどうやら私が直々に与えてやったその称号が気に入らなかったらしい

「だーかーらー違うって!」
「じゃあ………誰? って言うかさっきの奴らは!?」

私の問いに男は眩しいほどの爽やかな笑みでこう答えた

「俺が殺した」

あまりにもさらっと言ってのけるので危うく聞き逃す所だった
当時、私とて人を殺した事はあったがここまで爽やかに答える事など到底出来るはずも無かった
しかし唖然としている私を他所に男はさらに続けた

「ちょっと通りかかったんでね、あんたが殺されかけてたから………葬った」
「そんな事はどうでもいい!! 何故お前はそこまで………人を殺して…………」
「『笑っていられるのか?』って?」

この男に最初から感謝の念など抱いていなかったが、それすらを超えて怒りがこみ上げてきた
事も無げに人を殺した事も、その上で笑っている事も、『何故笑っていられるのか』に対し笑って答えたことも

「まぁ、色々あったからな、多くは語りたくないね」

そう言うと男は私に背を向けその場を立ち去ろうとした
だが、そのままその男を逃す私ではない
色々聞きたいこともあったが、何より一発ぶん殴ってやりたいとも思ったからだ

「オイ!………私も…………連れていけ!!」

男は何も言わずただ笑っているだけだった
そこから私と奴との奇妙な旅が始まった

 

 

 

 

それから数十年間奴と旅をした
だが、その中で奴の事で解った事は殆ど無かった
奴が昔話に記されている龍である事、大した魔法は使えない事、炎属性が得意な事、『ゼロ』という名前の大鎌を武器にする事、黒い服を好む事………
精々そのくらいだ
龍から人間になってどのような道を歩んだのか、その事に関しては全くと言っていいほど口を割らなかった
大体にして旅をしている理由さえ明かそうとしなかった男だからな
まぁ、恐らくは私と同じで一定の場所に止まれないからだろうが
そんな関係だったが特に不自由は感じなかった
恐らくは奴の表情のせいだろう
私も六百年近く生きているが、あれに勝る表情はナギかアルビレオぐらいしかお目にかかっていない
どうやら私はこの時から『エニタイム笑顔』に色んな意味で弱かった事を認めざるを得ない

 

 

 

 

「どうした? たった23秒だぞ、せめて一分は持たせろよ」

奴は修行の時も顔に張り付いた薄気味悪い薄ら笑いを剥がそうとはしなかった
それにしても魔法において炎と氷における有利・不利は無いのだが、そのせいにせずにはいられない程奴は強かった
大体にして奴は『魔法の射手』しか放ってこないのだが、強大な魔力故その威力は絶大だ
考えてみれば、ある意味『魔法の射手』は最強の魔法だ
出が早く、一度に何発も撃て、相手を追尾する
さらに唯一の弱点である威力の低さをやつは強大な魔力で補っていた
まぁ、そんな訳で私は奴に一度も勝てないどころか手傷を負わせる事さえ出来なかった

 

 

 

 

「なぁ、おまえってパートナー付けないのか」

ある日奴の薄ら笑いの口からそんな事が飛び出して来た
それはあまりにも愚問だった
永久の生を与えられた私にとって人間のパートナーなど使い捨てにしても程がある
私がそう言うと奴は少し間を空けて続けた

「じゃあ例えば…………人形とかどうよ?」

この言葉が後に私が『人形使い』と呼ばれる所以となる事など、当時の私は知る由も無かった
真剣に悩んでいる私の顔を見て奴がまた笑ったような気がした

 

 

…………だが、そんな旅も長くは続かなかった

 

 

 

 

「くっ…………魔法の射手、氷の十七矢!!」

私は放てられた幾重もの氷の矢が敵の障壁に完膚なきまでに撃墜される様を眺めているしかなかった
突如として現れた薄汚いローブをまとったその男は怪しげな魔法具で奴の動きを止めると、死んだ魚を見るような目を私に向けながら近づいてきた
当時の私如きの力では無駄に魔力を消費するだけでその男の進行を遮る事すら出来なかった
後ろは崖、前には強敵、助っ人は無し、まさに絵に描いた様な絶体絶命だ

「エ…………エヴァ、逃げ………………ろっ」

横でひれ伏しながら情けない声で必死にエスケープを促してくれる奴には悪いが、逃げたところで逃げ切れる相手ではない事は火を見るより明らかだった
しかもタチの悪い事にどうやら敵の狙いは私一人だったらしい
その証拠に当時かなりの賞金がその首に掛かっているにもかかわらず、横で無防備全開のどこぞの龍には目もくれなかった
恐らく私の吸血鬼の能力に興味があったのだろう
だが、そんな事はどうでも良かった
その時の一番の問題は私の魔力が底を尽きかけているという事実だ
次第に足元がおぼつかなくなり、目の前も霞んできた
そう思った瞬間、目の前の光景が漆黒の闇に包まれた
だが、よくよく見てみるとそれは単なるブラック・アウトでは無い事に気がついた

「ヨッ……遅く…………なったな
  俺様が来たからには……もう大丈夫だ」

それは奴の漆い後姿だった事に気づいたのはしばらく経った後だった
どうやら奴はあの強力な魔法結界を力ずくで破ったらしい
常日頃私があれ程口をすっぱくして忠告した『補助系の魔法も覚えろ』の言葉を再三に渡り無視し続けたツケがここに来て廻って来たようだ
内心『イイ気味だ』と思っていたのだが、そんな事を言えば奴は瀕死の私を置き去りにして遥か上空へエスケープしそうな勢いだったので私はその言葉を噛み殺した

「エヴァ、ここで一つ相談なんだが………」
「…………」

私は無言で続きを促した
こんな余裕の無い状況での相談なのだから、よほど緊急の用事なのだろう
そんな余裕の無い状況下でも離れようとしない薄ら笑いを浮かべた口が発した言葉は思いもよらない物だった

「人形使い、ってどうよ?」
「……………はぁ!?」
「イヤ、だから人形使いだって」

とりあえず一発ぶん殴ってやろうと思ったのは言うまでも無いだろう
だが、私の握り締められ、全魔力を充填させた拳を止めたのは奴の初めて見せるかもしれない真剣な顔だった
その気持ち悪い真顔を私に向けながら奴は三頭身弱の緑髪の人形を私に押し付けてきた

「それを持って逃げろ」
「オイ、何のつもりだ!! 私はまだ…………」
「いいから………逃げろっつってんだろッ!!」

その時、奴の両手が手持ち無沙汰なのに気が付いた
愛用の大鎌『ゼロ』が忽然としてその銀に煌く姿を消していたのだ

「まさかこの人形、お前の鎌……………」

私が言い切る前に奴はまた後ろを向き突然私を崖の下に向かってゆっくりと押した
そのショックと魔力切れで私が気を失う直前に私の鼓膜に声が響いた気がした

「じゃあな………人形、大事にしろよ」

 

 

 

 

その後どれ程眠っていただろう
目を覚まし、崖の上に飛んで行くとそこには何も無かった
敵の姿も、奴の姿も、気配も、鬱蒼と生い茂っていた筈の草木も、無秩序に転がっていた岩も、生命の息吹すらも
そう、『何も無かった』
何故私を突然突き放したのか理解できなかった
途方も無い驚きと絶望感が私を魂の抜けた人形にし、そこに立ち尽くさせていた
私の身を守ってくれたのは解るが、それなら戦いが終わった後で迎えに来るなりあったのではないか
となればやはり先程の戦闘で………

私が絶望に打ちひしがれていると今更ながら自分の腕に抱かれている人形に気付いた
形見、私がそれを見て思い浮かぶ単語はそれしかなかった

「人形使い………か」

遺言とも取れるその言葉は総てが消え失せた焼け野原に虚しく消えていった
気持ちが落ち着くまで私はたっぷりと時間を消費し、その後『儀式』を行った
ゆっくりと近づく私と人形の唇
重なった唇から光が溢れる
私の心情とは恐ろしくかけ離れた幻想的な光が満ち溢れた
その光が消えると人形の目が開き、口も開き………

「…………オ前誰ダ?」

第一声がそれだった
お互い初対面なのだから当然と言えば当然なのだが何故か腹の奥底に煮えたぎる何かがあったのは事実だ
第一可愛げが無い、まぁ私が言えた事ではないがな
その後数時間を要し、現在の状況を説明してやった事は完全に蛇足なので多くは語るまい
とにもかくにも私の従者だという自覚はあるようで命令もある程度聴いたし、戦ってもくれた事はやはり評価に値すると言わざるを得ない
幾分か冷静なった私はその後、修行と放浪の旅に身を投じた

 

 

 

 

その後の事を話すと、まずは生きていくために必要不可欠な術、幻術を身に着けた
私とて無用の争いに興味は無かったし、第一メンドイからやりたくは無かった
さらに今の私にしてみれば考えられないが、図書館に行って勉強もした
無論、公には明らかにされていない魔法専用の図書館だ
意外な事に、私の求めた強力な攻撃呪文はあっさりと私の手中に納まった
実際、実用的な殺人魔法は禁書扱いになっていたのだが、最早伝説と化しているような魔法は誰も使えないだろうと高をくくったのかも知れない
良くも悪くもそのおかげで私は6,000,000$もの金が懸かるほどの悪の魔法使いになれたわけだ
その後、ナギと出会い、今私はここにいる
十年以上慣れ親しんだこのログハウスに客人を招くのは本当に久しぶりだ
大分前にタカミチが来た時以来かも知れん
ハカセは………まぁ、客ではないな
そんな私の思考を軽快なノック音がさえぎった

「……茶々丸」
「ハイ、マスター」

名前を呼んだだけでその意味を汲み取った私の忠実な従者はドアに向かっていった
奴が来たという証拠はない、だが何故か私にはそれが確信できた
――あの扉の向こうにはあの薄笑いが待っている、と
茶々丸がドアノブに手を掛け木製の厚い扉を開けたとき、私の確信が証明された
私の記憶と寸分違わない笑みを浮かべているその男は開口一番にこう言い放った

「ヘヘッ、俺様降臨っと」

 

 

 

~SS後学座談会~

ボ:皆さん ボッヒゃ~、ボヒゃまげです
   気付いたら日曜模試だったのに全然勉強してない今日この頃、皆さん如何お過ごしでしょうか

エ:フン、ボッヒゃ~……エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだ
   と言う事は何か? それは茶々丸の絵が出来てない事への言い訳か?
   つまりこのSSでその失態から他の奴らの目をそらさせようと言う魂胆だな

イヤ、まぁ………そうとも言います
それはそれとしてやっと、と言うかとうとうネギまっぽい話になってきましたね
  
第三話にもなっておいて未だに原作のメインキャラが私と茶々丸しか出てないのはかなり問題だと思うがな
 他のネギまSSだったら遅くても第三話くらいには例の卒業証書授与のシーンがあるだろう
 
う………相変わらず痛いトコ突きますね
 でも多分次回もネギ出ないかな~、なんて予想が立ってますが

予想って、作者は貴様だろ
 ………まぁいい、それより第一話はヴォルトの一人称・二話は三人称・今回は私の一人喋り
 少しは統一感ってモノを重視したらどうだ

それについてあまり語るとネタバレになるのですが………
 このSSのテーマは『ネギまの裏』なので色んな人物にスポットを当てるつもりです
 
ほぅ……と言う事は色々な人物に裏がある、と言う事か?

まぁ、その辺は今はノーコメントでお願いします
  それから感想もお待ちしてますのでダメ出し等ありましたらお願いします

ボ&:てなわけで、次回もお楽しみに~


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舟機(脱オタク宣言!)

ミクシィやろ~よ~。
招待するからさぁ~。
by 舟機(脱オタク宣言!) (2006-09-09 14:29) 

舟機(脱オタク宣言!)

aburadako_2005@hotmail.co.jp
メアド晒したからフリーメールでいいので送ってください。
ボヒゃさんの参加待ってます。
by 舟機(脱オタク宣言!) (2006-09-09 14:31) 

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